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医師の未承認医療機器の個人輸入
医師の皆様方へ
海外の学会等で最新の医療機器の情報を知る医師の方々にとって、国内における薬事承認の動向が気になることと思います。
わが国の薬機法では、未承認医療機器を輸入もしくは製造販売する場合は、各機器によって厚生労働省の承認・認可が要求されておりますが、新しい技術を持つ海外メーカーは、我が国の薬事承認取得の困難さにより国内販売を諦めていく姿が多く見受けられます。
ただし、海外の未承認医療機器は、医師による限定的条件下での輸入であるなら、法的な道が開かれています。
しかしながら、医薬品と異なり取扱いや保守等が必要な医療機器を合法的に個人輸入し使用するには、様々な問題や疑問に対する良きアドバイスを必要とします。
日本の薬機法の概要
日本国内において医療機器を販売するための基本的ないくつかの要件と規則があります。
「医療機器」の定義
日本の薬事法による「医療機器」の定義とは、人または動物の疾病の診断、治療または予防に使用される機器であって、人または動物の身体や組織の構造または機能に影響を及ぼすことを目的とされている機械器具であって政令で定められているものです。(薬機法第2条)
「承認」要件
日本の薬機法により、日本国内にて承認や認証を得ていない医療機器は販売を目的として日本国内で輸入されてはなりません。また、未承認の医療機器は販売し、貸与し、授与し、若しくは販売、貸与若しくは授与の目的で製造し、輸入し、貯蔵し、若しくは陳列し、又は医療機器プログラムにあつては電気通信回線を通じて提供してはならない。(薬事法第65条)
「業許可」要件
日本の薬機法により、厚生労働大臣の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、医療機器又は体外診断用医薬品の製造販売をしてはならない。(薬機法第23条の2)
医療機器(一般医療機器並びに第23条の2の23第1項の規定により指定する高度管理医療機器及び管理医療機器を除く。)又は体外診断用医薬品(厚生労働大臣が基準を定めて指定する体外診断用医薬品及び同項の規定により指定する体外診断用医薬品を除く。)の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。(薬機法第23条の2の5)
高度管理医療機器又は特定保守管理医療機器(以下「高度管理医療機器等」という。)の販売業又は貸与業の許可を受けた者でなければ、それぞれ、業として、高度管理医療機器等を販売し、授与し、若しくは貸与し、若しくは販売、授与若しくは貸与の目的で陳列し、又は高度管理医療機器プログラム(高度管理医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下この項において同じ。)を電気通信回線を通じて提供してはならない。ただし、高度管理医療機器等の製造販売業者がその製造等をし、又は輸入をした高度管理医療機器等を高度管理医療機器等の製造販売業者、製造業者、販売業者又は貸与業者に、高度管理医療機器等の製造業者がその製造した高度管理医療機器等を高度管理医療機器等の製造販売業者又は製造業者に、それぞれ販売し、授与し、若しくは貸与し、若しくは販売、授与若しくは貸与の目的で陳列し、又は高度管理医療機器プログラムを電気通信回線を通じて提供するときは、この限りでない。(薬機法第39条)
医療機器の修理業の許可を受けた者でなければ、業として、医療機器の修理をしてはならない。(薬機法第40条の2)
「広告規制」要件
日本国内で承認や認証を得ていない医療機器について、何人も日本国内において、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。(薬機法第68条)
「医師による医療機器個人輸入」の要件
日本国内で承認や認証を得ていない医療機器について、当局は下記の場合のみ輸入することを許可しています。主な項目は以下の5つがあげられます。
しかし、いずれの場合も地方厚生局薬事監視専門官の許可が必要です。(厚生労働省医薬食品局長通知 薬食発1227第7号 平成22年12月27日)
- 臨床試験に使用することを目的とする
- 試験研究等に使用することを目的とする
臨床以外の品質試験などの研究目的等 - 展示用に使用することを目的し、販売、広告、宣伝を目的としないもの
- 個人用
輸入者が自己の個人的な使用に供することが目的で、医師の処方箋、若しくは指示書等が必要 - 医療従事者個人用
医師免許提示による個人輸入
未承認品の医師免許による個人輸入
薬事の承認や認証を得ていない日本以外の海外の医療機器の場合、日本の医師個人の使用目的のためならば、医療従事者個人用として、海外から日本に未承認医療機器を輸入することが許されています。 薬機法は販売目的の医療機器の輸入を制限するためのものであるため、医師が自己責任のもとに海外から直接購入する場合は前述の「医療従事者個人用」として合法行為です。これは一般的に「医師免許による個人輸入」とか「ドクターズライセンス インポート」等といわれているものです。
しかしながら、この方法が有効となるのは、医師個人が海外メーカーに対して直接購入を尋ねた場合のみ適用されます。 したがって、日本国内において第三者が何らかのプロモーション行為を不特定多数の医師に行った場合は違法行為となります。
ただし、医師が日本の「個人輸代行業者」と輸入行為に関してのみ提携することは可能です。ただし、輸入代行業者が日本国内で未承認品のその名称、製造方法、効能、効果又は性能や技術のプロモーションを行うことは違法行為となります。輸入代行業者の業務範囲とは、「輸入者の要請に基づき個別商品の輸入に関する役務(手続き)を請け負うものであり、商品の受け取り等の輸入の効果が帰属する場合は、輸入販売業の許可の取得が必要なものである」とされております。
医師が未承認品を個人輸入するための条件とは
- 治療上緊急性があること
- 国内に物の代替え品が流通していないこと
- 医師は自己責任のもと、自己の患者の診断又は治療に供することを目的とすること
このように医師のライセンスによる輸入が限局的に許可されていますが、その際、「個人輸入代行業者」は医師の事前の要請に基づいてなら、海外メーカーへ発注、支払い等の本来輸入医師が行うべき輸入手続き業務全般を医師から代行請け負うことができます。
ただし、「輸入代行業者」は不特定多数の医師にある特定の海外製品の購入希望を募るようなプロモーション行為を国内で行うことはできません。購入を希望されている医師の依頼を受けその医師の代わりに、支払いを医師に代わって行うことは認められています。ただし製品は海外から輸入者である医師のもとに直接届かなくてはなりません。輸入商品が「個人輸入代行業者」を一旦経由することは違法行為とみなされます。(厚生労働省医局長通知 医薬発第0828014 平成14年8月28日)
Japan MDCは、皆様が抱えられている様々な問題に対して、親身なるサービスおよびサポートを行っている医療機器のトータル・コンサルティング会社です。 是非お気軽にお問い合わせください。